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困難な統合と失われた結婚

Swan - Heart

こんにちは、喜龍一真です。

身近な異性の現実が見えすぎて、元型を投影させることができなくなってしまった現代においては、三次元・二次元のアイドル(偶像)に投影するしかなくなってしまったと、前回書きました。

眠っていた異性の元型エネルギーが覚醒し、統合するまでの過程を再掲すると、主に次の三段階になります。

1 憧れる:空想的異性像への憧れ
2 惹かれる:空想的憧れに性的魅力が加わり強く惹かれる
3 求める:一時的な性的結合による心と体両面での統合

問題は3です。

覚醒してきた異性の元型エネルギーが投影されると、当人にはどのようにみえるのでしょうか。

男子には天使か女神が目の前に降臨したかのようにみえるはずです。女子には天使か神が目の前に降臨したようにみえるでしょう。

例えばそれは、ライブでの熱狂的な状況下とか、夢の中とか、空想の中でとか、いろいろな状況下で起こります。

男子の姫元型、女子の王子元型が覚醒してくると、それとよく似たペルソナを持った偶像(アイドルやキャラクターなど)に刺激されて、投影が起こります。

例えばライブで、女の子のアイドルが、きらきら美しく輝くような衣装を着て、スポットライトやレーザーに照らしだされると、ステージという特別な中に立つ彼女は、まさに天使のようにみえることでしょう。

それは、ある種宗教的な体験ともいえるような、感動的で崇高な体験として感じられるでしょう。大音響の音と歌とともに熱狂的に叫び、踊りまくり、脳内麻薬が溢れ出るような状況下ですから、そのビジョンは妄想や空想をはるかに超えたリアリティをもって、現れてくるのです。

そんな現実を超えた姿を一度でも見てしまったら、理性や常識の枠など軽々飛び越えて、激しい恋愛感情に取り憑かれてしまうはずです。

相手はアイドルですから、一人の客など本当は見ているわけなどないのに、自分だけを見てくれていると錯覚し、特別な感情を相手が持ってくれると信じてしまいます。

それがさらに暴走することによって、中にはストーカーになったり、大量のメールを送ったりといった、犯罪行為を犯してでも、相手に近づき、結合しようとする者が出てくるわけです。

1で憧れ、2で強く惹かれても、相手はあくまで偶像です。

投影を引き受けるプロではあっても、そこまでが限界です。3の求めて結合する、というところは決して答えてくれません。どこまでも2の段階で寸止めされてしまうわけです。

これは、感情が燃え盛れば燃え盛るほど、生殺しのような苦しみになっていきます。元型が強烈に覚醒し、相手に投影されているのに、絶対に結ばれないからです。

二次元のキャラはさらに空想の中でしか出会うことのできない存在です。体を持たない存在ですから、触れることさえできません。その苦悶は、実際に直面した人しかわからないでしょう。

相手がアイドルなどの三次元の場合、その先にあるのは、3つの選択肢だけになってきます。結ばれる奇跡を期待し続けるか、きっぱり諦め縁を切るか、暴走して犯罪を犯してでも相手に接近するかです。

二次元の場合は、空想の中に生き続けることを選ぶか、諦めて現実に戻るか、その2つしかありません。

では、このような現実の相手ではない対象に自己の異性元型を投影して、恋愛感情を持ってしまった場合、結合できない相手と、どうすれば統合へと持って行くことができるのでしょうか。それは無理なことなのでしょうか。

先がないことはわかっていても、そのことはいったん目をつぶって、ただ純粋に対象に憧れ、惹かれ続ける、特別な恋愛感情の中に生き続けることは、苦しいけれど甘美な体験でもあります。

これと同じような体験に、既婚者の不倫があります。先がないけれど、今だけの恋愛感情の中に生き続けることで、結婚で果たせなかった異性元型との統合を果たそうとするわけです。

しかし、独身者が三次元・二次元にのめり込む以上に、不倫は社会的な価値観に反しているだけでなく、離婚や家庭崩壊などで周りの人を深く傷つけ、自分自身の人生を見失いかねません。

たいへん危険な状況に繋がりうる。それが異性元型の覚醒から統合へと向かう道のりのリスクです。

私自身、大学生時代に長期間病気入院し、留年したことで非常に落ち込んでいた時、ある女性アーティストのコンサートでまさに天使が降臨するのをこの目で見てしまいました。体が震えるような感動を体験してしまったのです。

その後も、偶然が次々起こって、ファンの一人になっていく中で、盲目的な恋愛感情に取り憑かれてしまい、それゆえに人生を大きく変えさせられてしまいました。

しかし、そのなかで、自分の中に目覚めた異性元型をある方法によって、別の場所に投影を移しつつ、最後はそれと統合して、この状況から脱することができました。

更にその後は、統合した異性元型のおかげで、自然に現実の女性にそれをプロジェクトできるようになりました。また、自分自身も女性のプロジェクションを引き受けられるまでに成長したことで、現実の中で相思相愛のパートナーと出会い、結婚することができたのです。

異性元型の覚醒から統合へ至る道程は、麻薬的に甘美でありながら、気づかないうちに大変危険で険しい道をそうと知らずに歩いています。まるで、普通に道を歩いている自分が、実は綱渡りをしていることに気づいていないようなものです。

でも、一度それを成し遂げてしまえば、現実の異性との結合はずっと楽で自然でありながら、愛と自由にあふれた関係を築くことができるようになります。

統合へと至る具体的な方法は、人によって変わるでしょう。

私の場合は、そのエネルギーの多くを創作に投入しました。物語の中に、アーティストをモチーフにしたヒロインを作り出し、もう一人の自分である主人公との壮大な物語を書いていく中で、現実の中では出会えなくても、空想の中で憧れ、惹かれ、そして結ばれていくプロセスを体験しました。

そして最後に、それはあくまで空想の中であったと気づき、ヒロインを殺し、その世界そのものを手放すことで現実に戻ることができました。

それはとても哀しく、辛いことではありました。でも、それを成し遂げたことで、はじめて現実の女性を自然体で愛することができるようになった自分に気付けたのでした。そして、心と体の両面で異性と結び合える、真の統合を現実の中で体験することができたのでした。

過去の時代においては、社会の制限が多くの場合、意味を持って機能を果たしてくれていました。そのおかげで、結婚も機能していました。

しかし、いまは結婚自体が意味を失い、恋愛が難しくなったことで、別のはけ口がビジネスとなって用意されるようになりました。恋愛ビジネス、風俗ビジネスは、巨大な産業となっています。

でも、そのどれもが完全なものではありません。それゆえに満足の行く統合へと進むことが、極めて難しくなってしまっています。

異性と結ばれ、幸せになるということが、これほど難しくなってしまった現代の中では、よほどしっかりとした叡智と導き、努力と忍耐の中で進んでいかないと、満足のいく結果にはなりにくくなってしまっています。

それが、いわゆる草食化とか、少子化とか、結婚しない若者の増加というかたちで、現象化しているのではないか。そんなふうに感じています。少子化問題はそんなに簡単に解決できることではないと、私は思っています。

それではまた。

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