こんにちは、喜龍一真です。
昨日の続きですが、前半はほとんどデジタルガジェットやITの話になるので、興味のない人はさっぱりわからないかもしれませんので、後半にすっ飛んでもらっても構いません。
高次元が教えてくれるメッセージのメタファーは、受け取り手が一番理解しやすい形でやってきます。私は子供の頃からパソコンやネットの世界に親しんできたので、このような例が一番わかり易いというだけなので、興味のない人はスルーしてください。
さて、パソコンは記憶装置というものを持っています。大昔のパソコンは記憶媒体はカセットテープでした。それがより高速なフロッピーディスクになり、さらに高速で大容量のハードディスクになりました。これらはいずれも、磁気に記憶させるものです。しかし、ハードディスクもまだ大きいので、ノートパソコンくらいの小型化がせいぜいでした。
ところが、その後記憶媒体はフラッシュメモリという、超小型の記憶媒体が出てきました。これはもうマイクロチップ並みの小ささなので、携帯電話とかスマートフォンの中にも収まるようになりました。このフラッシュメモリを大量に載せたSSDというパソコン向けの高速メディアも、MacBookAirなどで採用されて信じられないくらい薄型軽量化しました。
パソコンでもiPhoneでも、機械(ハードウェア)だけでは動きません。それを動かすプログラムが必要です。プログラムは言語によって書かれ、莫大な情報が構造物のようになっています。カーネルの上にOS(オペレーティングシステム)と呼ばれる基礎が組まれ、その上にさまざまアプリケーションと呼ばれるプログラムが動いて、はじめていろんな機能が動かせるようになります。
このような目に見えないプログラムをソフトウェアといいます。この無数のソフトウェアを動かすためには、必ず記憶装置がいります。記憶装置にソフトを覚えこませておくわけです。そして、起動すると、記憶装置から読みだし、メモリと言われる空間で動作させる、という仕組みになっています。
パソコンでよく「HD500G、メモリ64G」とか書いてあるのは、HDはハードディスクつまり記憶装置のことで記憶させておく部分。机で言えば引き出しの容量のことです。対してメモリとは、ソフトの実働空間のことで、例えれば机の上の広さを指します。
作業するときは、机の中から電卓とか鉛筆とかファイルとか出しますよね。それを整理して、収納しておく場所が記憶装置です。そしてそれらを行う仕事に応じて、机の上に広げて作業します。この机の広さがメモリの大きさということになります。
iPhoneなどのスマートフォンも基本的には小さなパソコンなので、仕組みは同じです。例えばiPhone6だと、16Gとか64Gとか128Gとか、三種類の容量が書かれています、これらは全部記憶装置のことですね。ちなみにiPhone6のメモリは全部1Gです。
さて、実際にiPhoneを使っている人ならお分かりかと思いますが、メモリをいろんなデータに食われてしまいます。音楽データ、写真データ、ビデオデータ、アプリデータと言った感じで、どんどん増えていきます。
気が付くと、満タンになってしまい、これ以上増やせない、増やすには消すしかない、という非常に困った状態になってしまいます。なので、できるだけ容量の大きいiPhoneを買ったほうが、そのぶんたくさんのデータを置いておけるわけです。ところが、大容量のものは、その分値段も跳ね上がります。
そのため、ついついケチって16Gの安い方を選んでしまったがために、すぐにいっぱいになってしまって後悔しても後の祭り。ということになってしまうわけです。訴訟の国アメリカでは「16Gなんて小容量のを売るほうが悪い」といってAppleを訴えた人たちがいたくらいです。
ところが、最近その辺の事情が少し変わってきました。それはクラウドというサービスです。
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パソコンもiPhoneも、ネットワークに繋がり、インターネットにアクセスできるのが今は普通ですが、昔はそうではありませんでした。
PC=パソコン=パーソナルコンピュータのことですが、パーソナル=個人のもつコンピュータという意味です。どういうことかというと、昔はIBMのメインフレームという大型汎用コンピュータに複数の端末がつながって使うという企業向けのものしかなかったのです。個人向けはせいぜい、計算機に毛の生えたようなマイコン(マイクロコンピュータ)しかありませんでした。
そこで、個人が使える本物のコンピュータを作ろうということで、大学生だったマイクロソフトのビル・ゲイツやアップルコンピュータのスティーブ・ジョブズが、IBMやゼロックス、HPなどからパクれるものはみなパクり、個人用のパソコンを作り上げて売りだした、というのがそもそものパソコンの成り立ちでした。
つまり、ネットワークに属さない、スタンドアローン(孤立した)コンピュータが、パーソナルコンピュータでした。ネットワークに属さず、サーバを持たないパソコンは、端末それ自体で完結している必要がありました。このため、大容量の記憶装置が必要になり、他のパソコンとやりとりするフロッピーディスクなどのメディアが必要だったのです。
ところが、PCはWindows95、Macは漢字トーク7あたりから、インターネットという、メインフレームなど問題にもならないくらい世界全体を包み込むようなグローバスネットワークにアクセスすることが可能となり、PCは単独でありながら、ネットワークにもつながりうるという非常に強い存在に進化しました。
とはいえ、初期の頃は通信速度が遅く、電話回線でつなげていたので、大容量のデータのやり取りはできませんでした。
しかし、技術の飛躍的な進歩に伴い、ISDN→ADSL→光回線と有線でのデータ通信はすさまじく高速化し、大容量になりました。さらに無線LANの技術も標準化高速化し、携帯電話のデータ通信サービスも2G→3G→4Gと進歩するに従って、加速度的に高速化し、大容量のデータ通信が可能になりました。
このような背景の中で、やっと出てきたのが、高速小型通信端末ともいうべきiPhoneだったわけです。
しかし、初期の頃はまだ通信速度は遅く、パソコンという母艦がないとデータのやりとりができない、不完全な存在でもありました。それが初期型→3G→4→4S→5→5S→6と進化し続けたことで、iPhoneも4GLTEなどの超高速通信網と常時接続するようになり、大容量のデータ通信ができるようになりました。
そこで、「クラウド」というサービスと、「ストリーミング」という技術が意味を持ってくるわけです。
インターネットのサーバーにデータを置いておくサービスを「クラウド」といい、ネット上のデータを(ダウンロードすることなく)直接見たり聞いたりすることを「ストリーミング」といいます。
これは何かというと、これまでは記憶媒体にデータを置いておく必要があったものを、全部インターネットのサーバーにおいておき、必要に応じてネット経由で直接データを利用してしまう、ということが、通信環境が高速化大容量化したことで、可能になったわけです。
例えばYouTubeなどで、動画を見るのはストリーミングです。データは全部ネット上にあり、そこからネットを経由して直接それを見ています。データは向こうにおいてありますから、どれだけ動画を見ても、記憶媒体はちっとも侵食されません。
クラウドサービスはデータをネット上においておくことで、複数の端末からも自由に利用することもできます。
このため、例えば出張などにもいちいちパソコンを持って行かなくても、ネットカフェのパソコンからでも使えますし、見るだけならiPadなどのタブレットやiPhoneを使ってもよく、いちいちデータをやりとりしなくても、ネットに繋がってさえいればデスクトップだろうがノートパソコンだろうが、どの端末からでも自由に使うことができるようになったわけです。
データだけを置いておくだけのクラウドサービスなら、無料のものは幾つもあります。DropBox、GoogleDrive、OneDrive、iCloudなどなど、探せばいくらでも出てきますし、複数使うこともできます。実際、私もこれら全部を使っていますが、家内とのデータ共有も簡単にできます。
iTunesMatchもそのようなクラウドサービスの一つですが、これまた便利な機能でとても重宝しています。
例えば自宅のMacなどに大量の音楽データがあるとします。ちなみに私は4500曲ほどのデータが保存されています。今は、音楽を聞くときはまずCDで聞きません。CDからMacに読み込んだり、iTunesで購入した楽曲のデータを、iPhoneに移してカーステレオにつないだり、自宅のスピーカーに繋いで聞いています。
しかし、これを全部iPhoneに入れると、128Gのメモリでも溢れてしまいます。そもそも、メモリすべてを音楽データだけに与えるわけには行きません。写真や動画、アプリなどがたくさんあるので、音楽に割けるメモリは自ずと限られてしまいます。そんなわけで、iPhoneには、パソコンに持っている楽曲データの一部分だけを選んで、保存するしかありませんでした。
ところが、iTunesMatchを使うと、すべての楽曲データをネット上のクラウドに置いておき、携帯の電波が繋がっていればどこでもストリーミングで聴くことができるようになりました。このおかげで、iPhoneの記憶媒体上には最小限度、あるいは全く保存しなくても、よくなったのです。
16Gの最小限の容量しかないiPhoneでも、音楽データに関しては、何百ギガのデータであろうと、ネットワークにつながっているかぎり制限なく、好きな音楽を好きなだけ聞けるようになったということです。
さらにそれだけでなく、iTunesで販売している高品質の楽曲データとおなじ曲データを持ってさえいれば、自動的に高品質なデータで音楽を聞くこともできるため、iPhoneに保存して聞くより、iTunesMatchからストリーミングで聞くほうが、音質も良いというおまけ付きです。
ということで、画期的なサービスなのですが、有料サービスになるため、年間4000円近くかかるのが痛いところですが、音楽データを豊富に持っている人には欠かせないサービスとなっています。
ということで、ここまでが前ふりです。
次の投稿へ進みます。
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