人間が自分の望みに気づくのは、自分の中からくる欲求か、周囲の人や物に刺激されるかのどちらかです。自分の中には、食欲、睡眠欲、性欲という身体感覚に直結するものから、お金、愛、物、さらに夢や理想など思考や感情の望みに至るまですべての欲求が眠っています。
ところが、自分の中からくる自分の望みには、意外に気づかないことが多いのです。何かいらいらするな、と思ったら、時計を見て初めて自分がまだお昼ご飯を食べていなかったことに気づいたことがありませんか? 時計という外部刺激によって、おなかがすいた、何か食べたいという自分の望みに気づいたわけです。
小さな子供は、おなかがすいたから不快だということがわからないので、空腹になると泣いたり怒ったりします。「おなかがすいた」ときちんと自分の望みを表現できるようになるのは、かなり自分の感覚を理解した後なのですね。
運命のパートナーと出会いたい、という思いには様々な欲求が関与しています。身体レベルの性欲、内的レベルでの愛の欲求、さらに相手を自分の思いのままにしたいという制御欲求、相手や周りの人に認められたいという承認欲求、一人で生きる不安を解消したいと願う安全欲求などなど、異性との結合を望む欲求は、お金に関する欲求と並んで、実に複雑で多彩な欲求によってできています。
そのような様々な欲求が自分の中に眠っているとは、普段はあまり気づきません。ところが、自分の周囲につきあい始めたばかりの熱々カップルがいたり、同級生の結婚式に出席したり、同窓会でママになった友人などに会ったり、クリスマスに次々カップルが生まれ、楽しそうにしているのを見ると、自分もそんな喜び、幸せを体験してみたいと思います。映画やテレビドラマ、雑誌、マンガなどを見て、触発される場合もあるでしょう。自分の中の眠っていた欲求が目覚めてくるのです。
このように周囲に触発され、自分の内部の「恋愛したい」「つきあいたい」といった願いを持つようになります。このような思いが、「運命のパートナーに出会いたい」「幸せな結婚をしたい」という高次の欲求に至る、最初の望みになります。