ソーストレーナー経歴

ソースを知る以前

私は学生時代、自分は何をしたいのかと考える暇もなく、親の期待に応えるために大学受験をめざしていました。一年浪人し、やっとのことで国立大学に入りました。大学では楽しい経験をするたび「こんなおもしろい世界があったのか」と驚くものの、専攻とは異なる分野で断念したものです。運動やさまざまなサークルもお金がなかったり、勇気がなくて、たくさん諦めてきました。

専門課程に入るなり、自分はすっかり進む方向を見失ってしまいました。学科を変わるなど小手先の手段ではもはや自分の中のもやもやは収まらず、体を壊してしまいます。そして一年の休学。

たくさんの本を読み、初めて自分の人生を考え始めました。自分はこれから何をしていけばいいのだろうかと。でも答えは得られませんでした。退院後も、失意と絶望の中で、鬱状態に入ってしまいました。大学にも行けず、引きこもりの状態です。

幸い、恩師とも言うべき人が現れ、助言を与えてくれたおかげで精神は立ち直り、文学を目指して大学を変え、新たな一歩を踏み出しました。

しかし、ここでも挫折してしまい、大学中退。親と恩師の職場である、宗教法人の専従者となりました。もともと祖父、父と二代続いて布教師でしたから、望まれてのことでした。その中で11年。様々な部署を経験し、確実に父の後を継ぐべく、キャリアを積んでいきました。

しかし、毎日自分の心の中は、いつもがんじがらめの自分に対する苛立ちばかりがつのりました。何一つ自分自身で決めたものではなく、親や周囲に決めてもらったものでできあがった自分の人生に嫌気が差していたのです。

自由になりたい。自分でひとつずつ選び取った人生を送りたい。

そんな自分に初めて、自分だけで選んだすばらしいパートナーが授かりました。今の妻がそうです。彼女と出会い、結婚するまでの間、私はこれでやっと自分の人生が始まると思いました。そして彼女と暮らし、子供が授かる中で、少しずつ環境が、自分が大好きなもの、ワクワクするものへと変わっていきました。

なおさら、今までのお仕着せの仕事と、自分で選んだプライベートのギャップに悩むことになりました。最初は、仕事はしょせんそんなもの、私生活だけ楽しければそれで満足しなければと思っていました。

でも、どうしても満足できないのです。いつももやもやしていました。

自分にはやらなくてはならない仕事が、必ずある。心からワクワクして、温かなエネルギーに溢れ、多くの仲間たちと笑顔で仕事が出来る。そんな場所がどこかにあるような気がしてなりませんでした。

しかし、現実には根拠の無い数字だけの目標、大きな責任、周囲の期待、役割、家族、義務。そういったものが身体と心を圧迫し、ついに体調を崩して倒れました。

そんなわが家に、本田健さんの無料小冊子が来ました。

ソースの情報が来る

それはたまたま家内が取り寄せたものでした。私はそれをつい手に取り、読み終わったあと、すべての迷いがすっと消えたかのように、上司にすべてを打ち明けるメールをうちました。その後、親も交えて何度も話し合い、地道に説得を続けた結果、ついに退職したのでした。

しかし、両親と恩師の期待を蹴って前職を辞めた罪の意識は重く、わがままで、自分勝手な、利己的なことだったのかもしれないと悩みました。自分の生まれてきた意味を探す旅に出たものの、それはただの幻かもしれないと途方に暮れていました。

そんな時に出会ったのが、本田健さんの「ライフワークで豊かに生きる」「ユダヤ人大富豪の教え」などの本でありました。そして、本田健さんを通じて知ったのが、マイク・マクマナスさんの「ソース」だったのです。

それは私にとって先の見えない旅に、差し込んだ一条の光のように思えたのでした。

2006年1月、初めて本田健さんのセミナーに参加しました。

そのとき、不思議なシンクロがあったのです。何度もメンバーを変えてグループワークが行われるのですが、話をしていると一人必ずソース・ワークショップを受講したという方がみえたのです。

そして何人かの方が、八ケ岳のワークショップを受講し、たいへんよかったからぜひ受講してみてと勧められました。私自身、その時どんな話をしたのか覚えていないのですが、自分のライフワークは何かということを切実に追い求めていたので、それを感じ取って勧めてくれたのだと思います。

ソースのことは、本田健さんの書籍の中にも出てきますし、セミナー中にも「ワクワクの源泉」に関連して推薦されており、ともかく本を読んでみようと思いました。家に帰ってから、アマゾンで取り寄せ読み始めると、なぜ皆さんが私に勧めてくれたのかわかる気がしました。一気に読みきってしまいました。

琴線に触れる部分は数多くあったのですが、一言で言えば「私の道のりは決して間違っているわけではないんだ」と思いました。

「自分は何を目的として生まれてきたのか」「自然体でワクワクする自分にぴったりの仕事はないのか」そういう思いに対し、今までは「そんなものはない」「あってもそんな仕事が出来るのがごく一部」「才能のある人だけ」「世間はそんなに甘くない」「食っていけなくなるぞ」等否定的な答えしか聞きませんでした。

この『ソース』は本田健さんや本田晃一さんとともに、「好きなこと」「ワクワクすること」を生きるための智慧と行動を、分かりやすく体系的に教えてくれるのです。それが新鮮でした。

「天命」「天職」などいうと、主観的で精神論的なものと捉えていたのですが、むしろ理にかなった、エネルギー効率のよい生き方なのだと、肩の力を抜きつつ、自信を持つことができました。

ただ、本だけではよくわからない部分もありましたし、肝心な部分が入っていない感じがしたので、ワークショップを受けてみたいと思うようになりました。VOICE社のHPを見て、トレーナー達の写真を見ながらどうしようかと迷いましたが、本田健さんのセミナーでも再三勧められた、八ケ岳小渕沢の安藤理さんのワークショップを受けてみることにしました。

ソースワークショップを受講して

安藤理さんのワークショップ(http://andoo.info/)は本田健さんをはじめ、本田晃一さん、犬飼ターボさんなど、多くの著名な方も受けていらっしゃいます。その感想を読んでいると、不思議な魅力を持っているらしい安藤さんにぜひお会いしてみたいと思うようになりました。

受講したのは4月です。その時の感想は次のようなものでした。

マイク・マクマナス氏が開発されたソースプログラムのトレーナー第一人者である安藤理さんのソース・ワークショップに参加してきました。

コナラの林の中に立つシンプルなログハウスの自宅を会場に四人の参加者で行われました。暖炉の火に暖められ安藤さんの静かで落ち着いた声と表情に守られながら自分の中からソース(わくわくの源泉)を探っていきました。

さまざまなテーマについて思い出し、語り、書き留めていく。互いに語りながら、聞きながら、またひとつまたひとつと思い出されていきます。そして掘り出された無数の言葉の中からまるでフィルターを通して濾し分けていくように整理され、まとめられていきます。

やがてそれは一つのコンステレーション(星座)を描き意味を持ち始めます。そして最後には、天から携えてきたはずの自分自身の生まれ出てきた目的、意味が抽出されるのです。ちょうど行き道で読んでいたル・グィンのゲド戦記外伝の「カワウソ」の章で水銀を抽出する場面が出てくるのですが、まさにそんな感じで、輝くような言葉に結晶化していくのです。

それは自分だけのかけがえのない「生まれ出てきた意味」です。この言葉を目にし、心の通いあった皆さんに伝え拍手をもらうとき、大きな感動に包み込まれていきます。そして最後に「皆さんへのお祝いです」と安藤さんが吹いてくれたコカリナの音とともにその言葉は胸に吸い込まれ、一つになるのです。それは生まれ変わりの儀式のようです。

前夜の晩にはアフリカンドラムを暖炉の炎を見つめながら聞きました。翌日は小雨が降りました。地水火風の蠢きを感じながら静寂の中に音のない響きを聞きながら自分だけの響きを見つけ出す。そんなソース・ワークショップでした。感謝しています。

いま、トレーナーとしてワークショップを行うとき、このときの原体験は自分の目指す目標であり、指標ともなっています。

ベーシック中、トレーナーをされている安藤さんを見ていると、無理に参加者を鼓舞することもなく、淡々と静かに自発的な流れを生み出すことで、多くの人をサポートできるすばらしい仕事だと感じました。静かなワクワクとともに、しっくりと心にはまる感覚を信じることにしました。そして、トレーナー養成講座を受けることを決めたのです。

ソーストレーナーへ

安藤さんの養成講座を受けたいと思っていたので、10月まで待たねばなりませんでした。養成講座では、たくさんのソース仲間と楽しい時間を過ごすことが出来ました。皆さんワクワクを求めて実践されているだけに、素敵な方ばかりなのです。実践的な練習をしながら、ソースの復習をしたり、多くの情報交換をすることが出来ました。かけがえのない出会いになりました。

トータルで四日間、二日ずつ二回受講します。私も、最初はおぼつかないながら徐々にコツを飲み込めて、実演できるようになっていきました。

安藤さんに「ソーストレーナーで成功する秘訣は?」と聞いてみました。すると「トレーナーになること自体は誰でも出来ます。でも、実際にやり続けるには、自分自身がソース的なワクワクを体現する生き方をしている必要があります」と教えていただきました。

また、「トレーナーと慣例で呼んでいますが、実際は訓練するわけではなく、ただ安心できる場を作って、プログラムと参加者を信頼し、流れを作っていくのが仕事です。自分の考えを押し付けたり、判断したりしないよう心がけています」とも伺いました。だから私も、安心して自分の世界に入り、自分の力で探り当てていくことが出来たのでしょう。

テクニカルな部分ではなく、人生そのものを問われる仕事。それがソーストレーナーという仕事なのだと知りました。そして、実際にワークショップを行ってみました。

©Muneo.Oishi 2010

補足(2018.6):Muneo.Oishiにとって、ソースとの出会いは大きなものでした。ある時期よりソーストレーナーとしての活動は行っていませんでしたが、文中の『自分自身がソース的なワクワクを体現する生き方』を一生涯をかけて行っていました。それは、アイントライの活動指針のひとつになっています。

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