性愛、家族愛、友愛、人類愛

ATENAS: ACROPOLIS. PARTENON.  II2009-05-24_10-27-03

パルファ:
一つ一つ、じっくり話していくけど、まずおおざっぱに定義づけてみようか。

まず、エロス。エロスとは肉体レベルから深くわき出してくる性愛のエネルギーさ。男女が一体になることを通じて生じる。男女の結合により発現する強力なエネルギーだね。情熱的で、激しく、官能的であるため、創造にもつながるし、扱いを間違えば破壊にもつながる。

ストルゲは血縁の愛だ。家族の愛、親子の愛、とりわけ母子の愛がストルゲの象徴さ。すべての人がヘソという母とのつながりを示す聖痕を記されているのも、このストルゲの愛によって生を受けたということを示しているね。ストルゲの愛も肉体レベルの愛であるため、強力だけど、そのぶん執着やコンプレックスにもつながりやすい。

フィリアは、友愛だよ。仲間、友人、知人、同僚、地域社会、さらには同胞をも含め、狭い範囲からより広い範囲まで、エロスやストルゲが拡大した愛がフィリアなんだ。エロスの愛、ストルゲの愛と別個の愛ではないよ。一対の男女から家族、血縁という愛の範囲が拡大し、より多くの人がその愛のエネルギーの中に入るようになること。それがフィリアなんだ。

そしてアガペ。アガペは人類愛、世界愛、地球愛、宇宙愛だよ。フィリアの範囲が拡大した最果てが、人類すべてという大きな範囲であるとしたら、アガペはそこから最初の一歩が始まる。人類に対する愛が、世界、地球と言ったより広範囲の、人類以外への愛へと広がり、さらに宇宙に広がる星々に集う高次の生命体への愛、さらにはこの宇宙そのものである神の愛と同化していく。まさに「愛は宇宙エネルギー」という広義の愛にまで拡大していく。それがアガペなんだ。

しかし、このアガペすら、最初のエロスの愛から一歩も離れるどころか、このエロスの愛の源泉が宇宙全体まで拡大した姿が、アガペなんだ。源泉は常にエロスからやってくる。そしてそれがストルゲとなり、フィリアとなり、やがてアガペにまで昇華していくんだ。宇宙の果てまで広がっていき、再び愛の一つの固まりになって、自由が愛を再び分割し始める。そして再びエロスの愛へと循環していくんだ。

エロスの愛なくして、ストルゲの愛はなく、フィリアの愛もなく、ましてアガペの愛には至らない。エロスの愛の源泉をまずは掘り当てること。そして、その無限の愛の泉からわき出る、愛のエネルギーによって自分に快楽を与え、喜びを与え、十分に満ち足りるまで与えきってから、溢れ出たエネルギーが、家族に与えられ、友人に与えられ、人類に与えられ、世界に与えられ、宇宙に与えられるんだ。そして与えた愛は、より大きな泉となって、君たちの泉から吹き出してくるんだ。

この愛の泉こそ、君たちの内なる神に他ならないよ。神は愛なんだから、愛の分け御霊である、君たちの内なる神からやってくる。開けば開くほど、無限に愛はやってくるんだ。でも、栓を開かなければ、愛は吹き出すことが出来ない。愛の栓をひねること、自分の中の神と出会うことさ。

内なる愛は「ワクワクする気持ち」という形でやってくる。それを受け取る。愛を受け取るんだ。そして、さらに自分の内なる神が「ワクワクする気持ち」をいっぱい吹き出せるようなことを、毎日することによってね。

そうすることによって、愛の源泉は徐々に開き始める。

©Muneo Oishi 2010

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