アヤしすぎる二人:「未来は、えらべる!」レビュー1

この本は「地球の皆さん、ワクワクすることをしてください」というメッセージを一九八〇年代から発し続けている宇宙存在バシャールと、「幸せな小金持ち」「経済自由人」になるためには「ワクワクの源泉」に従って生きることだと伝え続けている本田健の対談集である。

地球から三百年未来の「エササニ星」に住む宇宙人バシャールが、アメリカのダリル・アンカという人物と同調(チャネリング)し、発信された「ワクワクに生きることが人生をより良く生きる鍵である」というメッセージは、すでに一九八〇年代から多くの人々に影響を与え、二十一世紀におけるニューエイジや自己啓発、スピリチュアリズムのさきがけとなった。

とはいえ、初めて「チャネリング」「宇宙存在」などと聞くと、悪い冗談のようにしか聞こえないだろう。古来から行われてきた、霊媒とか霊能者の「お告げ」みたいなものを連想させるからだ。実際、数多くの宗教で、このような「神の啓示」「天啓」「お告げ」が見られるし、その多くは極めて断定的で、偏狭なものが多い。私自身、最初バシャールの話を聞いたときは、拒絶反応だった。「宇宙人」「チャネリング」なんて、聞いただけで「アヤシイ」と思ったのだ。

もちろん、そんなことを言えば、本田健だって一般人にしてみれば、かなりアヤシイ人物であろう。まだ若いのにお金の専門家であり、複数の会社のオーナーであり、作家であり、いわば成功者である。その成功者が「幸せな小金持ち」とか「ワクワクの源泉」とか「好きなことを仕事にし、お金持ちになる」とか、そうとう嘘くさい話に聞こえる。汗水たらして必死で生きている人々からすれば、「あまっちょろいことを言って人をだまくらかし、金を稼いでいる不届きな輩」だと断定されても不思議ではない。

この対談集を迷うことなく手にとる人は、バシャールか本田健のファンであろう。そのような人たちにしてみれば、両者はいずれも魅力あふれ、人生をより良くするための有意義なツールを紹介してくれる稀有な人物だとわかっている。しかし、そうでない人がこの本を手に取る動機はかなり低い。そんな、通常ならまず読まないであろうマーケットの中に存在する潜在的読者に向けて、この本から得られる具体的なメリットを紹介してみたいと思う。

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