第一幕 終場 早朝の甲板(二つの儀式)より
ソローの言葉:
かつて光も闇もなく、一つの混沌としてありし時
叡智は全てであり、力は無限であり、時空は一つであった
真と偽との区別なく、善と悪のと区別なく、美と醜の区別なく
混沌に、それら求める意思目覚め、いつしか渇きとなりしとき
光と闇は生み出でた
光は光のみにてあらず。闇は闇のみにてあらず。
光の中に闇が生き、闇の中に光が生き、そして二人は生かされる
光は闇をこそ求め、そを己が身のうちに育み
闇は光をこそ求め、そを己が身のうちに育む
闇抱きし光と、光抱きし闇がともに合わさりし時
彩と名付く、無垢なる子が生み出でた
叡智は全ての中に生き、真理はすべてに明かされる
日と月の中に、天と地の中に、昼と夜の中に、男と女の中に
我らの濁りし瞳よ、清まりたまえ!
我らの覆われし心よ、払われたまえ!
生命は身体の中にあり、神の分け身は魂の中にありぬ
『表象劇グラール』Muneo.Oishi(1994年)49頁抜粋