熱帯魚のレイアウト水槽と自己実現

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こんにちは、宗生です。

この三次元の世界は、そんなに簡単に思い通りになるようにはできていませんね。時間もかかるし、手間もかかります。

今自分が苦労しているのは、レイアウト水槽の熱帯魚と水草です。実に思い通りに行きません。

あっちを立てれば、こっちが立たず。水の濁りが取れないと悩み、魚が病気になったと慌て、コケだらけにしてみたり、異臭がしてみたり、いちいち頭を悩ませてくれます。

久しぶりに水槽を買ったのが今年のゴールデンウィークで、それから水槽を立ち上げたものの、水がなかなか出来上がらず、生体は次々死んでしまい、知っていたつもりで自分は何も知ってなかったことに、何度も気づかされました。

学生時代に一度熱帯魚を飼ったことがあったので、そんなに難しいと思っていなかったのです。

確か、中野の地下街に熱帯魚屋さんがあり、ニッソーのコンパクト水槽セットが安く売っていたので、つい買ってしまったのが最初のきっかけでした。照明にフィルターに底砂にカルキ抜きまで全部揃っていたので、何も悩むことなくはじめることができました。

最初に群泳させた20匹近いネオンテトラが全滅した時も、私は帰省していて、代わりに面倒を見てくれていた友人が後始末をしたので、生体が死んでいくのを見る苦痛も経験したことがありませんでした。

東京に戻ると、水槽をリセットして、こんどはマーブルグラミーやハニーグラミーなど少し大きめの魚を飼いました。みんな丈夫で、そんなに苦労せずともちゃんと育ってくれたので、熱帯魚飼育なんてそんなに難しいことはないと思っていました。

就職して結婚してからは、水槽を作る余裕などなく、子どもを育てることに手一杯でした。犬猫はもちろん、魚すら飼う気にはなりませんでした。でも、余裕が出てきたら、またやってみたいなとは思っていました。

なんせ熱帯魚水槽はうまくいけばとても美しいので、インテリアとしてもいいし、生き物を見ていると癒やされるものです。子どもたちは犬や猫を飼いたがりますが、さすがにそれは無理でも、魚なら飼ってあげることは出来るかも、と思っていました。

そんなわけで、気楽に再開したわけですが、この20年近くの間に、熱帯魚飼育はけっこう進歩していました。できることがものすごく増え、機材が安いものから高いものまで豊富に揃い、インターネットのお陰で情報がいくらでも調べられるようになっていました。

そのために、どんどんやりたいことが増えてきてしまうという問題が発生してしまいました。パッケージや商品パンフレットなどの水景の写真を見ていると、「自分もこんなふうに作ってみたい」と欲を持ってしまうのですが、そこに大きな落とし穴があいていました。

実際は、追加の機材をあれもこれも揃えなければ、写真のようにはできません。それを、いかにも簡単そうに見せ、始めさせているわけです。ちょうどプリンタや携帯電話と同じですね。機械を安く買わせ、使わせ、インクや通信費で儲ける仕組みです。アクアリウムの場合は水槽を安く買わせて、機材や薬品などで儲けるわけです。

「だまされたー」と思っても、それは自分の知識の足りなさが原因であって、別に最初の機材だけでこうなるとはひとことも書いてないわけですから、嘘ではありません。

結局、あれもこれも買い足す羽目になり、それでもだめなら今度は大きな水槽へとグレードアップしたくなるという、購買心理行動が仕掛けられていました。

さすがにこれはいかんなと気づき、まずは情報を得ようとアマゾンで本を数冊取り寄せ、イチから勉強をしなおしました。そして、そもそも最初の機材から、選択が間違っていたことに気づきました。まったくほんとにやれやれです。

そして、水槽を仕切りなおすべくリセットし、照明を追加し、水草をネットで取り寄せ、底砂をソイルにかえたのが、まだ2週間前のことです。二酸化炭素の添加キットも高くて買えなかったのですが、ネットで調べると、イーストと砂糖水で発酵させる安価な方法があることを知り、やってみたらうまくいきました。

それでようやく、自分の望むような感じになってきましたが、今度はコケ対策です。そんな感じで、いまも勉強中です。

現実の人生でも、よく似たことがあります。

知識がなかったばかりに、自分の望みとはかけ離れた現実になってしまったとしても、一度そうなってしまったものをやり直すのは、ものすごいエネルギーが必要です。例えば仕事や結婚がそうですね。

前の水槽でも、ある程度安定してくれば、よくはないけど悪くもありませんでした。魚達は元気だし、そこそこはきれいです。欲を持たなければ、そのままでもいいのかもしれません。

でも、本や写真を見るたび、がっかりする気持ちを抑えることが難しくなってきます。明らかに色が違うし、形も違う。何もかも違う。こんなじゃないのに、という思いが日増しに強くなってきます。

どうせやり直すなら、根本的にやり直そう。そして今度は失敗しないように、徹底的に調べて、準備してからやってみよう。そうやって、自分の失敗を認めて、初心に戻って一から学び直すとき、初めて本当に必要だった情報と出会えるのかもしれません。

水槽なら何度失敗してもやり直せるけれど、人生はそういうわけにはいきません。世間には、常識という名の誤った情報が満ちており、常に混乱させられ、葛藤と直面させられます。

私もずっと、そんな中で、正しい道、真実の道ってなんだろうと思って、道のないところをたくさん歩いてきたような気がします。

1つだけ言えるのは、自分にとって正しい道が、必ずしも人にとって正しいとはいえないし、人が正しいという道が、必ずしも自分にとって正しいわけでもない、ということだと思います。

なぜなら正解は一つではなく、選択は「何を望むか」によるだけだからです。

水槽でもそうです。原則は同じでも、水槽によって環境は大きく違い、それによって現象も対策も違ってきます。結局はトライ・アンド・エラーしながら、ピンポイントのバランスを探していくしかありません

そんな自己実現の道すがら、頼りになるのは自分の内的センサーです。内なる声に耳を澄ませ、なにが本当の望みなのかと自問するとき、心のなかで聞こえてくる声を、どこまで受け止めて現実にしていくかを選択します。

そんな困難を乗り越えて、水槽の中の生体が気持ちよさそうに泳いだり、水草が鮮やかな緑色に繁る環境が整ってくると、とても嬉しいし、いつまでも眺めていたくなります。自己実現とは、調和の世界を創造する喜びを追求することなのかもしれませんね。

それでは、また。

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