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箱庭療法士集中講座を終えて

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こんにちは、宗生です。

箱庭療法士集中講座を修了し、おととい帰国しました。

約2週間足らずの渡英でしたが、
この期間にロンドンで経験したことは、
とても短い文章で書き表せないほどの、
濃密で、美しく、貴重な体験の連続で、
正直言って今はまだうまく言葉になりません。

とはいえ、今の気持ちを記録しておくために、
不十分な文章ですが感想を書いてみました。

あくまで私個人の感想なので、
他の参加者の皆さんの感想とは異なるかもしれませんので、
ご了承ください。

さて、すべての講習が終ったあと、
パブでみなさんと飲みながら(実に今回はよく飲みました)、
「まさか、こんなふうになるとはおもってなかったね」
と話していました。

始まる前は、
もっと苦しくて、たいへんで、しんどくって、
きつい講座だろうと思っていたのです。

全然違いました。

確かに、毎日体も心もクタクタになりましたけど、
それ以上にキラキラ輝くものがいっぱいあったのです。
まるで、ずっと恋をしていたような二週間でした。

我々は自分の分も含め、80枚のトレイ(砂箱)を見ました。
8人の参加者が10回トレイを作ったからです。
そのすべてのトレイの中に、一人ひとりの深い内面が表現されており、
私はその一つ一つを見るごとに、深く感情を動かされました。

一人ひとりが人生の中で経験したり、感じたりしたことから、
表現された箱庭の中は、大切なシンボルばかりで、
その一つ一つに込められた思いを知るごとに、
涙が流れるほど悲しみを感じたり、思わず笑ってしまったり、
さまざまな景色や音をその中に感じたりしました。

とても不思議なシンクロもいっぱい起こりました。

箱庭療法を行うということは、
常にクライアントの心を深く受け止め、
一緒になって感情や込められた意味を感受しながら、
クライアントの中で起こる癒しと成長を支援することです。

でも、それはとても危険なことでもあります。

自分の中に、意識の当たっていない暗い領域があって、
そこに相手の何かが触れてしまったら、
それは自分でも予想もしていない感情となって現れてしまいます。

そのもっとも顕著な例が恋愛感情でしょう。

自分の中の未発達な部分が相手に映ってしまうことを、
プロジェクション(投影)といいますが、
それに激しく心を揺さぶられてしまうからです。

そうなると、それまでなんてことのなかった普通の人が、
光り輝き、感情が制御不能になるほど魅力的に見えたりするのです。
実際、恋愛は全てこのプロジェクションによって起こっています。

ほかにも、さまざまな感情が自分の中から沸き起こります。
身体そのものが抵抗したり、痛みを発することもあります。

箱庭療法といってもいろんなやり方がありますから、
その定義は千差万別です。
分析的に行う方もいますし、治療的に行う方もいます。

私にとって箱庭療法士になるということは、
どんなクライアントが来て、激しく心を揺さぶられても、
その意味をきちんと理解し、受け止め、
開放し、統合できる力を持つようになる、ということです。

その意味を受け止め、理解し、解放することによって、
自分と統合する機会とし、
感情を沈静化させるということを一瞬でできるほどの、
内的な力を持つようになるということです。

感情に振り回されてしまい、コントロールできなくなったら、
人生そのものを破壊してしまいかねません。

それほど、深い部分で相手の意識を共有できるのが、
箱庭の凄さでもあり、危険なところでもあります。

その危険をよく知った上で、
箱庭のポテンシャルを最大限使えるようになる人が、
私の目標とする箱庭療法士です。

だからこそ、この二週間足らずの講習中に、
自分の中に眠っている弱い部分、封じられている部分、
隠してきた部分を徹底的に表現し、ときに激しく心を揺さぶられながらも、
その意味を心理学的に理解しながら、自分の中に統合していくという、
きわめて困難な内的プロセスを行ないました。

このように書くと、とても難しいことをやっていたように思うかもしれません。
実際私も、難しいことをやるように思っていました。
でも、それは全く違っていました。

やればやるほど、嬉しくてしょうがないのです。

自分の中にある、自分でもよくわからなかったものが、
テーマにそって箱庭の中に表現することで、それを見てもらうことができます。
先生の解説と、深い叡智、そしてみなの愛と感受性が、
私の不可解な内面を共感的に受け止め、理解してくれるのです。

私が作ったトレイを見て、皆が息を呑み、
涙を流してくれたこともありました。

私ですら、あまりに痛みが深くて、
泣くことさえ出来なかったことを、
皆が一緒になって泣いてくれたのです。

それが、どれほど深い癒しになるか。
どれほど深い友愛に包まれるか。

そして私もまた、多くのトレイを見て、
強い感情や感覚の体験を何度もしました。
自分の人生では体験できないような
喜怒哀楽を箱庭のなかで体験しました。

そのような深い理解の中で、
人に対する理解は三次元を超え、
その人のすべてを超えて
愛そのものに変わってしまいます。

私はこの期間を経て、
自分の中にこれほどの愛があったということを知って、
あるいはこれだけの愛を与えてもらったからこそ、
沸き起こってくる深い愛があることを知って、驚きました。

ジョン先生は、今回のような短期間に、
これほどの進化を遂げ、しかも愛と思いやりにあふれた
箱庭を作る人達に出会ったことがないと話されたそうです。

修了式では、まるで親子のように、
皆がひとつの家族のように祝いあいました。
だからこそ、別れて家に戻ることが、
とても寂しく、哀しいことにも思われました。

これが「思いもよらなかった」という感想の理由です。

私自身「名残惜しい」と思うような、
友愛(フィリア)の関係がこの短期間に築けるなんて、
思いもよらないことでした。

もちろんこれは箱庭療法だけの力ではありません。

ジョン先生や仲さん、そして今回参加された皆さん一人ひとりが、
友愛と慈愛に満ちた素晴らしい方々だったからこそ起こった、
奇蹟だったのかもしれません。

それでも、ここで体験した出来事は、
夢物語では決してありませんでした。

人の心と人間関係がどんどん崩壊していく世界の中に、
なにか希望を見出していけるんじゃないかと、
私は思わずにはいられませんでした。

ジョン先生は、こんな素晴らしい人たちばかりいるのなら、
来世は日本人に生まれたい、と言われたそうです。
でも、残念ながら日本人だろうと英国人だろうと、
心は壊れ、人間関係は損なわれ、皆が深く傷ついています。

そんな私達が、すべての境界線を取り除いて
感情と経験をわかちあい、理解し合ったあと、
再びバンダリを引き直してもとに戻ったとき、
どうなっていくのか。

もっともっと創造的な人間関係の有り様を、
ときとして危険と背中合わせであったとしても、
追求してみたい。光り輝く未来を見てみたい。

もっともっと、フィリアの関係を広げてみたい。
そんな気持ちを深く持った、今回の渡英でした。

準備が整い次第、箱庭療法のモニターも募集を開始する予定です。

砂箱やオブジェクトを揃え、環境を整えて、
AIST(統合的箱庭療法協会)の箱庭療法士になるためにまずは60件のトレイを
経験しなくてはなりません。

すでに数名の方より、箱庭を受けたい旨、メールをいただいています。

ではまた。

©Muneo.Oishi 2012

補足(2018.6):現在は直子よりリーブス箱庭療法及び療法士養成コースをご提供しています。
*AIST(統合的箱庭療法協会)の箱庭療法士養成とは異なるプログラムとなります。

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