ロンドン通信2

Yet Another

こんにちは、宗生です。

ロンドンでの箱庭講習も折り返し地点です。
けっこうキツイです。

錬金術的な変容に関する講習から、
ゲシュタルト的な視点についての勉強に変わりましたが、
その根底はシャドウ・ワークなので、
自分の深い影や闇を集中的に扱っています。

きのうは、夜中の2時の目覚めて、
眠れなくなり、前日に作ったトレイについて、
瞑想したり、思索を巡らせたりしていました。

そんななかで、できた小さな物語を紹介しますね。
「太陽の気付き」というお話です。

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太陽の気付き

太陽は、宇宙のどまんなかで、
たった一人で輝き続けていました。

しかし、あまりに長い間、一人ぼっちで輝いていたので、
だんだんつまらなくなってきてしまいました。

「ああ、話し相手がほしい。友達がほしいな」

太陽はそう言って、
友達を求めて地上に降りて行きました。

大地に降り立った太陽は、
最初に美しい声で鳴く鳥を見つけました。
「なんて綺麗な歌声なんだろう」

太陽は嬉しくなって、
思わず手を伸ばしました。

すると、たちどころに鳥は燃え上がり、
あっというまに灰になってしまいました。

太陽は、たいそう驚き、
「なんて不思議な鳥なんだろう。
 勝手に燃えてしまうなんて」
と言いました。

太陽は友達を求めて、更に先へと進んで行きました。

すると、素晴らしく美しい緑の葉をつけた、
背の高い木を見つけました。

「なんて綺麗な色なんだろう」

太陽は嬉しくなって、
思わず手を伸ばしました。

すると、木はたちどころに燃え上がり、
美しかった緑の葉は、真っ赤な炎に包まれ、
黒い炭になってしまいました。

太陽は、たいそう驚き、
「なんて変わった木なんだろう。
 勝手に燃えて炭になってしまうなんて」
と言いました。

太陽は友達を求めて、更に先へと進んで行きました。

すると、そこには美しい泉が広がっていました。
喉が渇いた太陽は、その泉の水を掬おうとしました。

すると、水はたちどころに蒸気になり、
泉は跡形もなく消えてしまいました。
太陽は混乱し、首を振りました。

いったいどうなっているんだろう?

太陽は、いぶかしがりながらも、先へと進んで行きました。

するとそこには、美しい少女が立っていました。
太陽はその美しさに目を奪われ、
胸が焦がれるような思いをいだきました。

そして、少女を傷つけないように、
そっと手を触れました。

すると、少女はたちどころに燃え上がりました。
激しい悲鳴を上げながら、少女は炎の中で悶え苦しみ、
溶けて肉の塊になってしまいました。

太陽はあまりのことに激しくショックを受けました。
なぜ、こんなことがおこるんだろう。
どうして、こんなひどいことがおこってしまうんだろう。

太陽は、ふと自分の後ろを振り返りました。

すると、それは、
これまで太陽が見てきた世界とは全く違った、
焦土と化した世界でした。

すべてが色を失い、形を失って、
火の海の中で真っ黒になっていました。
地獄でした。

太陽は、それまで自分のことを、
光に満ちた天使だと思っていました。

地球を育み、植物や動物を育て、
そして人々に愛されている無垢な存在だと、
信じて疑ったことがありませんでした。

しかし、そうではなかったのです。

太陽は自分が破壊の神だと知りました。
すべてを炎で焼き滅ぼしてしまう、
悪魔だと知ったのです。

太陽は、深く嘆き悲しみ、
自分の無知を呪いました。
しかし、失われたものは、
もう二度と元には戻りませんでした。

同じ過ちを二度と繰り返すまいと、
太陽は再び天に帰りました。

しかし、わずかに大地に近づけば、
大地は焼けてしまい、
かといって遠ざかれば、
大地は凍ってしまいました。

太陽は、大地との適切な距離を見出すために、
長い時間失敗を繰り返さなければなりませんでした。
そしてやっと、その距離を見出したあとは、
もう二度と、その場所を離れようとはしませんでした。

太陽は、もう誰とも関わるまい。
大地と関わるまいと誓いました。
そして一人で誰とも話さずに生きていこうと思ったのです。

月は、そんな太陽を不憫に思い、
大地の近くを回りながら、
太陽の光を反射させて、
時の流れを知らせました。

そして、大地の様子を常に話し伝えては、
太陽の孤独を慰めたのでした。

太陽はそんな月のお陰で、
少し幸せになることができました。

おしまい

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なんかあまりに哀しいお話しすぎて、
考えついたときは深く落ち込んでしまいましたが、
先生にこのお話をしたら楽になり、
トレイを作ったらすっかり元気になりました。

ある意味、シャドウを統合する、というのは、
これくらいたいへんなことだと、
おわかりいただけたら幸いです。

それではまた。

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