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恋愛と師弟関係にみるプロジェクション

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みなさん、こんにちは。
宗生です。

ロンドンでの箱庭療法講習ディプロマコースを修了し、
帰って参りました。

サーティフィケート(初級)の規定セッション時間60時間もクリアし、
AISTの箱庭療法士(サーティフィケート)として資格も取得いたしました。
あと15時間ほどで箱庭療法士(ディプロマ)の規定時間もクリアなので、
7月中にはすべて完了できそうです。

通常なら10年がかりでやるような変容を、
2週間でやってきたものですから、
帰ってきてからも変容と調整で、
しばらく休養を必要としました。

おかげさまで7月に入って、すっかり準備も整い、
箱庭療法も再開しました。

そんななかで、いろいろお問い合わせもいただき、
お話したりメールでお答えする中で、
皆様にもシェアしたいと思ったことがあります。

それはプロジェクション(投影)についてです。

我々は皆、自分の周囲に、何かを投げかけ、
それを周囲に照らして、周りを見ています。
ちょうど、自分がプロジェクター(映写機)で、
周囲の人々がスクリーンのような感じですね。

例えば、あなたにとても好きな人がいて、
その人の態度が急に冷たくなったのを、
「私が嫌われてしまったからだ」と感じているとします。

それは、
自分が原因で、人が急に態度を変えたという過去の経験などから、
今回も同じようなことが起こっているのではないかと
感じている自分の不安や恐れを、相手に反射させてみているわけです。

それがプロジェクション(投影)です。

実は、単にその人の個人的な悩み事のせいで、
そっけない態度をとっただけかもしれません。
お腹が痛かったのかもしれません。
夜眠れなくて、気分が優れなかったのかもしれません。

空が青くて考え事をしていただけかもしれません。

自分のせいかどうかは、聞いてみなくは分かりません。
それまでは、すべて自分の今までの経験からの推測、
もっと言えば単なる個人的な思い込みに過ぎません。

相手の行動には相手の都合があり理由があります。
それをすべて自分のせいにしてしまうのは、
明らかに不自然な物の見方ということになります。

また、仮に自分が原因だとしても、
必ずしもネガティブな理由だけではなく、
ポジティブな理由も考えられるわけですが、
「嫌われたから」という
理由のほうが受け入れやすいために、
あえてそちらを信じ込んでいる、という側面もあります。

しかし、他人がいくら多面的な可能性を指摘しても、
ネガティブな理由を「真実だ」と思い、相手に投影すれば、
いくらでもそれを証明できてしまいます。

「だって、あの人は私と話すときはつっけんどんなのに、
 別の人とは朗らかに話しているじゃない」などですね。

実際、多くの人達は現実を自分のネガティブな
期待通りに作り、自ら苦しんでいるとも言えます。

というのも、自分の内面的な不安、恐れが、
周囲に反射してそのように見えるだけでなく、
そのような思いを常に照らされ続けると、
相手もそれに合わせて、
そのように振る舞うようになってしまうからです。

よく、恋愛の最高潮の時、相手が白馬の王子様のような、
理想の男性に見えたりします。

まさにこれこそプロジェクションで、
相手の内面とは無関係に、
ひたすら自分の理想を相手に投影して見ているのです。

しかし、投影している人はそれを真実だと、
疑いもなく確信しきっているので、
投影されている方も、段々信じてしまうのです。

「ひょっとして、俺ってマジで白馬の王子なんじゃ?」
みたいに錯覚してしまうわけです。

そして、ほんとにカッコよくなったり、紳士になったり、
男らしくなったり、してしまうのです。

もちろんこれは、異性同士だけでなく、同性同士でも起こります。
例えば、師弟関係。

先生と言えども、ポジティブな面もあればネガティブな面もあるわけで、
完璧な先生など存在しないわけですが、
ともすると、完璧な先生というものを信じたいがために、
そのような理想を投影してしまいます。

あの先生だけは、決して間違いを犯さない、といって、
信じこんでしまう、という形で生じるプロジェクションです。

そんな強い期待と幻想のプロジェクションを
日々受け続けていたら、
先生も完璧な先生として応えようとし、
自分の力量を超えてしまいます。

そこに無理が生じて、
ネガティブな部分が増幅されて出てきてしまうわけです。

それでも、ネガティブな面を無視するほどの、
高い期待を相手に抱いている間は素晴らしい関係になりますが、
徐々に先生のネガティブな面が溢れ出てきてしまうほどになります。

幻想的なプロジェクションがあまりに強すぎることに対する
拒絶反応としてのシャドウの増幅が生じ、
バランスを取ろうとするわけです。

このシャドウがどんどん膨らんで、
もはや看過できないとなったとき、期待が大きかったぶん、
激しい失望に落ち込んでしまい、
そして、関係そのものが崩壊する、というパターンが、
とくに師弟関係を重視する関係性の中でしばしば起こります。

具体的には、出会ったときは素晴らしい人だったのに、
親しくなればなるほど、性的な問題や経済的な問題、
またパワハラやモラハラなどが増幅し、破壊に至るという経過です。

また、先生はしっかり自分をキープしていても、
生徒が勝手に自分の理想の人じゃなかったといって失望し、
離れていくパターンもあります。

恋愛でも、
プロジェクトする側の「理想化」「偶像化」「期待」、
プロジェクトされる側の「期待に応えたい」「認められたい」、
などという二つの相互作用によって、
引き起こされているわけで、
それが感情を大きく動かしたり、
人格そのものを変容させるようなパワーを生み出すのです。

恋愛がなかなかうまく行かないのは、
好意が憧れになり、憧れが怖れになると、
その恐れによって相手に近づけなくなるからです。

相手もその恐れの投影を感じて恐れだし、
相互に距離が離れてしまい、
結局遠くから見ていることしか出来ない、
ということになりがちです。

このようなプロジェクションによって、
引き起こされている人間関係上のトラブルは、
結局、そのような現実を投影している、
自分自身の無意識層の問題を表面化してくれているわけです。

本来の自分らしくない期待や依存、劣等感や無力感が、
ニュートラルに周囲を見れなくし、
自分自身の勝手な幻想を周囲に投影することで、
混乱を生じ、問題をひきおこしているわけです。

逆に見れば、それは自分の無意識層を癒し、
変容することで、
このようなトラブルを起こさなくなるどころか、
より自然で創造的な現実を作り出す内面へと、
変容できる大いなるチャンスなわけです。

般若心経の「色即是空 空即是色」は、
現実だと思っている周囲(色)は、
全て自分のプロジェクション(空)であり、
最初から意味があるわけではない(空)のが、
現実の実相なのだ(色)と、
端的に表現しているわけです。

だから悟りとは、
現実とは全て自分が生み出している投影であり、
現実が自分にとって苦しみを生み出すなら、
自分自身の無意識層にその原因があるのであって、
それを癒し、開放することによってのみ、
初めて現実を変えることができるということを知ることなのです。

プロジェクションによって、
私たちは現実を意味づけし、理解し、
体験できるようになっています。

したがってプロジェクション自体はなくなりませんが、
それを穏やかな親しみや愛、
和やかさに変えることは可能です。

そのためには、自分自身の恐れ、不安、
さらにはその不安や怖れを生み出している、
過去のトラウマ(心の傷、罪悪感など)を癒す必要があります。

これらを総合的にやるには、箱庭療法が最も有効です。
3、6、12回のセッションを通して、
癒しと変容を行うことになります。

■箱庭療法(申込みフォーム)
einetrie.com/?page_id=4788

また、対面での箱庭セッションが受けられない方のために、
現在、遠隔での表現療法(風景構成法などを応用した描画療法)セッションを準備中です。

紙に絵を書いていただいた写真をその場でメールしていただき、
スカイプでセッションするという方法を、考えています。
箱庭療法同様に3、6、12回のセッションを通して、
癒しと変容を行うことになります。

さらに深く濃い箱庭を受けたいという人のために、
1週間もしくは2週間の箱庭対面リトリートも構想中です。

リトリートとは、
仕事や家庭などの日常生活を離れ、
自分だけの時間や人間関係に浸れる場所のことです。

伊勢という土地そのものの持つ癒しの力を借りて、
集中的に箱庭セッションを毎日行なって、
癒しと変容、破壊と創造を行うという意味です。

具体的には、津市内に宿をとっていただき、
箱庭セッションにかよっていただく以外は、
一人の自由な時間を過ごしていただくセッションです。

私自身が、ロンドンでの2週間の箱庭講習中での変容は、
まさにリトリートならではの濃密なものでした。

家族や日常から離れたイギリス・ロンドンという場所で
一人の自由な時間を堪能しつつ、
通常ではありえないほどの速度で
破壊と創造が生じたという経験によって、
同様のセッションを国内でも提案出来ればと考えています。

ではまた。

追伸

ロンドンという街を僕の体験から一言でくくってしまうと、
「音楽が安くて、食べ物が高い街」ということになりそうです。

すばらしいクラシックのコンサートが毎日、
15ポンドとか30ポンドとかで聞けるなんて、
夢のようだと思いつつ、
食事の度に10ポンド以上使わなくてはならないって、
どんだけ高いんだよ!と呻いていました。

ロンドンにもすき家があればいいのに(笑)。

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