言葉にならない箱庭の表現

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宗生です。

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

先月はあまりメルマガを発信できませんでしたが、
今月も確定申告の準備が始まることもあり、
あまり更新できないかもしれません。

また箱庭療法のセッションが始まったことで、
言葉がすべて溶けていくような感じになっていることも、
メルマガの文章がかけない大きな理由でもあります。

先月スタートした箱庭療法のセッションでは、
いきなり20トレイほども行いました。

毎回、言葉にならない箱庭の表現の中に入り込みながら、
クライアントさまの心のなかにいっしょに入っていき、
理解を深めるというセッションを行いました。

すでに連続での箱庭ではプロセスの進展も生じています。

今までどうしても抜け出すことのできなかった、
同じ感情の繰り返しがなぜおこっているのか、
何を示しているのかを、いっしょに理解していったセッションでした。

その中でカタルシス(浄化)や赦し、気づき、変容、そして癒しといった
プロセスが起こって行くのを、いっしょに歩ませていただいています。

そんなわけで、なかなか言葉が出てこないのです。

これは、私自身も同じことで、
自分の人生において、繰り返し起こるパターンがあります。

同じようなネガティブな感情を経験するということが、
何度も繰り返すということは、
それを起こしているのは周囲のせいではなく、
自分の中に要因があるとしか考えられません。

でなければ、なぜ周期的に、しかも人が変わっているのに、
同じような出来事が起こってしまうのか説明がつきません。
説明がつかないとき、考えられるのは二つしかありません。

一つは、そもそも理由などなく、この現実世界とは、
そのような理不尽な世界なのだと諦めることです。

もう一つは、自分自身の中に同じ現象を引き起こしている
原因となっているネガティブな感情のコンプレックス(複合体)があり、
それが解消を求めてメッセージを発していると捉えるかです。

宗教者は前者で捉えようとしますが、
スピリチュアリストは後者で捉えます。

なぜなら、スピリチュアルの元となっている神秘学の根底にある、
錬金術的思考の基礎は、無から有が発生すると考えることにあるからです。

無から有が生まれるとは、つまり高次元から三次元が生まれる、
あるいは意識の深層から現実が創造される、
ということです。

一度だけなら、あるいは二度くらいなら、
そこには乱数的な確率で起こる理不尽な偶然性が
連続で起こりうることを定できません。

しかし、三度以上同じパターンが繰り返すとなれば、
これはもう偶然とはいえません。
同じような現象が手を変え品を変え、
何度も続くことはありえないからです。

そこには必然性があるのです。

しかし、外部の人間が常に入れ替わるのに、
同じことが生じるというパターンが起こるのであれば、
消去法的に考えても、自分の内面にしか、
原因を見出すことはできません。

しかしながら、自分自身の深層心理ほど、
理解できない領域はありませんし、
ましてそこを変化させるとなれば、
それがどれほど困難であるか想像に難くないでしょう。

ちょうどそれは、無意識に起こる癖を治すようなものです。

睡眠中のいびきをかく癖、
ふとした拍子に体を掻く癖、
緊張するともぞもぞ動く癖、
人前で喋ると「えーと」を繰り返してしまう癖、
などなど、無意識にやってしまうことを意識的に直そうと思っても、
直せないのと同じです。

なぜそんなことをしてしまうのかもわからないし、
ましてそれをやめようといくら意識しようとしたって
無意識にやってしまうのだからどうすることもできないのです。

そういう無意識レベルにある感情の複合体は、
やっかいなことに、それが無意識にネガティブな行動を
その人にやらせてしまうため、
避けたいと思っているのに、結局同じようなことを
周囲との間で起こしてしまい、また同じような悲しみや痛みを
体験してしまうわけです。

例えばそれが他人からの誤解からくる攻撃だったり、
嫉妬からくるいじめだったり、
罪悪感からくるDVだったり、
繰り返し起こるお金の問題だったりするのです。

さて、箱庭療法のセッションに
初めてお越しいただいたクライアント様は、
部屋に入ってくると「えっ」と目を丸くされます。

真ん中に砂の入ったトレイが置かれているのはわかるとして、
トレイをとりまくように、
大量のおもちゃが置かれ、並べられているからです。

箱庭療法をご存じない方がほとんどなので、
「なんでおもちゃがいっぱいあるんですか?」と
びっくりされます。

中には私の子どものおもちゃなのかなと思ったり、
子供の遊び部屋なのかなと思ったりされるようです。

「箱庭療法というのは、こういうおもちゃを使ってやるセラピーなんですよ」
というと、みなさんびっくりされます。

もともと箱庭療法は、英語ではサンドプレイセラピーといいます。
サンドプレイとは「砂遊び」のことです。

「砂遊び療法」というのが直訳なのですが、
それだとそれこそ意味がよくわからないので、
心理療法家の河合隼雄さんが「箱庭療法」と名付けられたのです。

それはちょうど箱庭づくりのように、
砂箱の中にオブジェクト(おもちゃ)を使ってさまざまな情景や、
物語をそこで「ごっこ遊び」のように行うことで、
癒しが行われていくからです。

ユング心理学によって、
箱庭療法の心理学的な分析と深化が進められたことで、
おもちゃ(オブジェクト)がもつ象徴的な意味が、
集合的な無意識を表現していたり、
クライアントさまの無意識レベルの経験や記憶から意味付けられており、
それをセラピストが思考と感情の両面から共感的に理解することで、
単なるおもちゃによるごっこ遊びの中から、
無意識レベルの感情や思考の複合体(コンプレックス)が、
表現されていると、理解できるようになったのです。

クライアント様の言葉を一つ一つ聞きながら、
秘めた意味を解き明かしていきつつ、受け止めていくわけです。

それによって、クライアント様は、
自分で作った箱庭によって、
自分の中の理解できず、手出しも出来なかった、
無意識レベルの複合的な問題を目で見ることができ、
理解を深め、自分自身訳もわからず苦しんできた痛みを、
自分で「だからだったんだね」と納得できるのです。

なぜこんな苦しみを、自分だけが味あわなくてはならないのか、
なぜ同じような苦痛を何度も何度も体験しなくてはならないのか、
どうして変わりたいと思っているのに、変われないのか、
なんでこんなに辛いのに、哀しいのに、どうすることもできないのか。

そういう深い怒りと諦めの中にいた人たちが、
箱庭療法のセッションの中で、それらを引き起こしている
自分の中にあった痛みや苦しみに気づき、
涙を流したり、深いところで納得したり、
自分を自分で「つらかったね」「だからだったんだね」と
わかってあげられたとき、
無意識の中に問題は、理解され、慰められ、埋められたことで、
もはや現実の中で問題を引き起こし、
「開放してくれ」「気づいてくれ」と訴える必要がなくなります。

もちろん、無意識の深層の問題が一回のトレイで出ることはありません。
最初のトレイでは「問題と答え」がまず出てきます。
そのトレイにより、何度のトレイが必要かがわかります。

一つの問題を深め、解き明かし、受け止め、癒すというプロセスは、
3~6回、場合によってはそれ以上のトレイを繰り返し作る中で、
並行して起こってきます。

じっくりと箱庭を作りながら、
自分をすこしずつ紐解いていきます。
それは自分という不可解な謎を解き明かす、
ワクワクする体験でもあります。

お二人の方が、ブログにて私の箱庭療法を受けた
ご感想を書いてくださっています。

■青い森の癒し(Yukimiさん)
http://ameblo.jp/20elf05-samuser/entry-11432697608.html

■junの「暮らしのうた」(junさん)
http://ameblo.jp/peace575/entry-11436077689.html

教えてくださるリーブスインスティテュート代表の仲さんご自身は、
「一生していくもの、それは私にとって間違いなく箱庭療法です」と、
箱庭がライフワークだとおっしゃっています。

LEAVES INSTITUTE
LEAVES INSTITUTE リーブスのプロ養成コースで、自分と世界を癒そう。

私も、
箱庭療法は一生続けていくライフワークになるだろうと思っています。

パルジファルが伝えた「救いとは、共苦」という言葉は、
同情や自己犠牲ではなく、
どんな苦しみや傷みにもポジティブな理由があり、
それを理解することで、理不尽な闇は癒され、
インナーピースが訪れることだと理解しています。

私自身の最も深い闇をポジティブな形で活かしたのが
陰陽師だとするなら、
クライアント様の深い闇に私の光を当てて癒しを行うのが、
箱庭療法です。

それはともに、錬金術の、
「無から有が生み出させる」という思考を基礎にして、
成り立つ二つの柱です。

今年一年、この2つの柱をしっかりと根付かせ、
みなさまのお役に立てるよう、
精進して参りますので、
どうぞよろしくお願いいたします。

遅ればせながら新年のご挨拶とさせていただきます。

それではまた。

©Muneo.Oishi 2012

補足(2018.6):現在は直子よりリーブス箱庭療法及び療法士養成コースをご提供しています。
https://einetrie.com/?page_id=4788

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